最近HSPという言葉が注目を集めています。
HSPとは、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」のことで、「とても感受性が強く敏感な気質もった人」という意味で、アメリカの心理学者のエレイン・N・アーロン博士が考案したものだそうです。
ロンブーの田村淳さんも自分がHSPであることを公言していますし、「人口の2割近くの人がHSP気質である」とも言われています。
そんなHSPですが、一見「生きづらさ」ばかりが注目されがちですが、HSPは本当に生きづらく、不幸せなことなんでしょうか。
今日はそんな視点で書いてみたいと思います。
HSPとは
先に書いた通り、HSPとは「とても感受性が強く敏感な気質もった人」という意味で使われていますが、具体的にはどういう特徴があるのでしょうか。
アーロン博士によると、HSPには以下のような特徴があると定義しています。
D 「深く考えをめぐらせる(Depth of processing)」
- すこしの説明で全体が理解できる。一を知って十を知る
- 調べ物をすると深く掘りさげていて、周りに驚かれる
- お世辞を言われてもすぐに本音を見抜いてしまう
- 物事をはじめるまでにあれこれ考えてしまい、時間がかかる
- その場限りの快楽よりも、生き方や哲学的なことに興味がある
O 「過剰な刺激を受けてしまう(Overstimulation)」
- 人混みやイベント、騒音が苦手
- 友だちと楽しく過ごしていたのに、帰宅してからどっと疲れがでる
- 映画や音楽、本などの芸術作品に深く感動する
- 相手の発言に傷ついてしまい、しばらく忘れられない
- ささいなことでも驚いてしまう
E 「感情が動きやすく共感もしやすい(Emotional response and empathy)」
- 人が怒られていると自分のことのように感じてしまう
- 悲しい映画は登場人物に感情移入してしまい、号泣する
- 相手のちょっとしたしぐさで、機嫌や思っていることがわかる
- 言葉を話せない幼児や動物の気持ちを察することができる
S 「些細なことにも敏感(Sensitivity to subtleties)」
- 冷蔵庫の「ブーン」という低音や時計の秒針の音が気になってしまう
- 強い光やまぶしさが苦手
- となりに座った人の口臭やタバコの匂いで気分が悪くなる
- カフェインや添加物に敏感に反応してしまう
- 肌着のタグなどチクチクする素材は我慢ができない
- 第六感がはたらき、よく当たる
こうやって見ると、何となくマイナスな側面やプラスの側面があることがわかりますが、結構自分にもあてはまる項目が多いことに気づく方もいるのではないでしょうか。
ただ、HSPの人は、これらの項目を人並み以上に感じてしまうという点が普通の人とは大きく違うと思います。
自分がHSP気質かどうかを診断してくれるサイトがありますので、興味がある方はやってみてくださいね。
あと、HSPは先天的なものと後天的なものがあると言われています。
先天的HSPとは、生まれながらにしてそういう気質を持ち合わせているケースです。後天的HSPとは、何かに起因(例えばうつ病などの精神病)して症状が出るケースです。
私の場合、もちろんすべての項目に当てはまるわけではありませんが、うつ病を発症してから、当てはまる項目が増え、より敏感に感じるようになりました。いわゆる後天的HSPということでしょうか。
逆にHSPからうつ病になる危険性も指摘されています。
HSPは不幸なのか?幸せなのか?
これは本当に一概には言えませんが、確かに敏感すぎることで「生きづらさ」があるのは事実です。
特に「過剰な刺激を受けてしまう(Overstimulation)」や「些細なことにも敏感(Sensitivity to subtleties)」の項目は、結構辛いことが多いです。
特に人混みは、いろんな人のエネルギーを感じてしまうので、長時間はかなりしんどいです。
酷い時は、自分が自分でないような感覚になることもあります。
あと、これは自分の経験なのですが、こういう感覚の時は身体症状にも現れることがあります。
- 動悸がする
- 頭が重くなる
- 目眩がする
- 疲れやすくなる
他にもありますが、主にこのような症状が現れます。もちろんこれらの症状に伴い、不安や恐怖、焦りといった感情も湧いてきます。
こんな事がほぼ毎日続くわけですから、「生きづらさ」を感じるのも仕方ありません。
ここまではマイナスの側面ですが、勿論プラスの側面もあります。
とにかく感受性が強く、いろんなことに過敏になので、小さな喜びも大きな喜びとして感じられるようになります。
例えば人に感謝された時などは、人一倍喜びを感じるようになります。だから人にも優しくできるのだと思います。
あと、HSP気質の人は常に自分と向き合ってる人が多いと思います。
これも感受性が強いため、必然的にそうなるのかも知れませんが、その都度自分の感情と向き合うことが増えてきます。
恐らく先天的なHSPの人は、生まれながらなので戸惑うことは少ないのかも知れませんが、後天的な私などは急に激しい感情に揺さぶられるのでとても戸惑うことが多いです。最近ようやく慣れてきましたけど(笑)
あと、ペットを飼っている人なんかはペットの気持ちがわかるようになるかも知れません。
もちろん言葉で伝わるわけではありませんが、ペットの行動や何気ない仕草で、「今喜んでるな」とか「今リラックスしてるな」、「お腹空いてるな」とかすごく良くわかるようになると思います。
私もトイプーを飼っていますが、HSP気質になってから本当にペットの気持ちがよくわかるようになった気がします。
ペットを飼っている人はわかると思いますが、こういう機会は多いと思います。ある意味ペット好きの人は少なからずHSP気質なのかも知れませんね。
特に喜びや癒しの感情を感じると、自分まで幸せな気分になります。また、家族や他人の感情にも敏感になるので、家族や他人が幸せを感じている時は、自分も幸せな気持ちにもなれます。
ちょっと取り止めもない話になりましたが、このようにHSPには悪い側面と良い側面があります。
つまり客観的にみて、不幸か幸せかというとどちらとも言えないということなんですが、これらの悪い側面と良い側面を含めて「これが自分なんだ」と考えれば、それはそれで幸せなんだろうなと最近は感じています。
まとめ
何のエビデンスもありませんが、今後ますますHSP気質の人が増えてくるように思います。
折しもコロナの感染拡大の影響もあり、HSPの人はかなり辛い日々を送っているのかも知れませんね。
また、今HSP気質じゃないと思っている人も、世の中の出来事に敏感にならざるを得なくなっています。
そうなると人は自分と向き合わざるをえなくなります。仕事のこと、家族のこと、生活のこと…。
コロナは悪い面ばかり強調されがちですが、自分自身と向き合う時間も与えてくれます(半ば強制的ですが…)。
HSPかどうかを問わず、自分自身と向き合う時間を大切にしながら、これからの時代に自分はどう在りたいのかを改めて考えることが大切なんだと思います。